表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち

交差点から、それぞれの道へ

ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)とジョルジュ・ルオー(1871-1958)。後年の作品にはあまり接点が感じられませんが、20世紀初頭には互いの活動に関心を寄せていました。二人の画家を関連付けた初めての企画展が、パナソニック 汐留ミュージアムで開催中です。

  • (右)ヴァシリー・カンディンスキー《活気ある安定》1937年 宮城県美術館 / (左3点、左端から時計回りで)ヴァシリー・カンディンスキー《素描 35》1941年 宮城県美術館 / ヴァシリー・カンディンスキー《素描 14》1941年 宮城県美術館 / ヴァシリー・カンディンスキー《素描 24》1941年 宮城県美術館
  • マックス・ベヒシュタイン 版画集『われらの父』より、左から《天にいますわれらの父よ》《御国は来たれり、みこころが天に行われるとおり地にもおこなわれますように》1921年 宮城県美術館
  • (左から)エーリヒ・ヘッケル《木彫りのある静物》1913年 広島県立美術館 / マックス・ベヒシュタイン《森で》1919年 高知県立美術館
  • (左から)ヴァシリー・カンディンスキー《ファウスト第2部アーリエルの場》1908年 高知県立美術館 / ハインリヒ・カンペンドンク《郊外の農民》1918年頃 宮城県美術館
  • (左端から時計回りで)パウル・クレー《ホフマン風の情景(『新ヨーロッパ版画集』第1集)》1921年 宮城県美術館 / パウル・クレー《世界劇場(寄席)》1918年 宮城県美術館 / パウル・クレー《無題(反射する窓)》1915年 宮城県美術館
  • (左から)ヴァシリー・カンディンスキー《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作》1914年 宮城県美術館 / ガブリエーレ・ミュンター《抽象的コンポジション》1917年 横浜美術館
  • (左から)パウル・クレー《グラジオラスの静物》1932年 宮城県美術館 / パウル・クレー《橋の傍らの三軒の家》1922年 宮城県美術館
  • (左から)パウル・クレー《赤い鳥の話》1935年 宮城県美術館 / パウル・クレー《内なる光の聖女(『新ヨーロッパ版画集』第1集)》1921年 宮城県美術館
  • (左から)パウル・クレー《Ph博士の診察室装置》1922年 宮城県美術館 / パウル・クレー《綱渡り師》1923年 宮城県美術館

展覧会は今夏、宮城県美術館で行われた「ルオーのまなざし 表現への情熱」展の巡回展。パナソニック 汐留ミュージアムのルオー・コレクションと、宮城県美術館蔵のカンディンスキーやクレーの作品に加え、他館からの貴重なドイツ表現主義作品も紹介しつつ、天才画家の歩みを展観していきます。

第1章は「カンディンスキーとルオーの交差点」。カンディンスキーによる《商人たちの到着》は展覧会のメインビジュアル。油彩ではなくテンペラ画で、故郷・ロシアへの憧憬が込められています。ルオーも出品していた1905年のサロン・ドートンヌで展示されました。

第1章「カンディンスキーとルオーの交差点」


第2章は「色の冒険者たちの共鳴」。パリで生まれたフォーヴィスムの一員と見なされていたルオー(ただ、自身は特定の画派への定義付けを嫌っていました)。同じ1905年にドイツで結成された芸術グループが「ブリュッケ」です。自然への回帰を志向し、原始的な風景やヌードなどをモチーフにしました。

ブリュッケと並びドイツ表現主義を代表する存在が、カンディンスキーを中心としたグループ「青騎士」。作家の内面に重きを置いたため、カンディンスキーは後に現実世界の描写から離れ、純粋な色彩だけの構成に向かいます。

ここにはクレーの作品も展示されています。クレーとカンディンスキーは、ともに1900年にミュンヘンの王立アカデミーに入学。互いに良き理解者でした。

第2章「色の冒険者たちの共鳴」


第3章は「カンディンスキー、クレー、ルオー ─ それぞれの飛翔」。第一次世界大戦の勃発によりドイツ表現主義は終了しますが、戦後になると画家たちはそれぞれの道を歩みました。

カンディンスキーはバウハウスのマイスターに就任。教育の傍ら制作活動を進め、幾何学的なモチーフの抽象画に到達します。

クレーもバウハウスのマイスターとなり、カンディンスキーの同僚に。具象とも抽象ともいえない、独自の詩的な作品世界を突き詰めていきます。

一方、ルオーは一貫して具象を追及。幾層にも絵具を乗り重ねた深淵な宗教画に至りました。

第3章は「カンディンスキー、クレー、ルオー ─ それぞれの飛翔」


残念ながらこちらのページではルオーの作品がありませんが(著作権存続作家のため)、本展で一番多いのはルオー。初期から最晩年まで、数々の作品が並びます。会場でお楽しみください。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年10月16日 ]

TOKYO美術館 2017-2018TOKYO美術館 2017-2018

 

エイ出版社
¥ 1,296


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展覧会の詳細

会期

2017年10月17日(火)~12月20日(水)