MAKI-E・美の万華鏡展

単眼鏡で楽しさ倍増

漆で絵や文様を描き、乾かないうちに金粉などをふりかけて定着させる蒔絵(まきえ)。繊細な表現が魅力のひとつなので、本来ならば手に取って近くで見たいものですが、美術展では叶いません。こんな時に、鑑賞を助けてくれるのが単眼鏡(アートスコープ)。「単眼鏡での鑑賞」をテーマにした蒔絵工芸作品展が、東京富士美術館で開催中です。

  • 天璋院篤姫の婚礼調度《葵紋牡丹紋二葉葵唐草蒔絵茶碗台 同蓋》東京富士美術館蔵
  • (左奥から)《長崎螺鈿 黒漆地花鳥蒔絵螺鈿裁縫箱》 / 《津軽塗 鳳凰蒔絵印籠箪笥》 ともに東京富士美術館蔵
  • (左手前から)《牡丹蝶蒔絵煙草盆》 / 《牡丹蒔絵煙草盆》 ともに東京富士美術館蔵
  • (左奥から)平安堂《布引瀧蒔絵香箪笥》 / 柳澤一抱《桜蒔絵香箪笥》 / 《色紙散蒔絵香箪笥》 すべて東京富士美術館蔵
  • (手前左から)《梅稲穂菊蒔絵提重》 / 《二十四孝図蒔絵提重》 / 《菊牡丹流水紅葉提重》 / (奥)《吉野山図屏風》 すべて東京富士美術館蔵
  • 重要美術品《鹿秋草蒔絵硯箱》東京富士美術館蔵
  • 《脇指 無銘(花押)(順公[徳川慶篤])》東京富士美術館蔵
  • (左から)古満休伯《紅葉幔幕蒔絵印籠》 / 梶川文龍斎《菊壽蒔絵印籠》 ともに東京富士美術館蔵
  • (左から)《千鳥蒔絵書棚》 / 《吉野山蒔絵大書棚》 ともに東京富士美術館蔵

単眼鏡に興味はあるけど、買う前に試せれば…と思っている方にはうってつけの本展。「Let's体験!覗いて探検!驚嘆の十番勝負!」と銘打った10コーナーで、1つずつ作品がピックアップされており、それぞれを備え付けの単眼鏡で楽しむことができます。

どの作品も肉眼の鑑賞とは違った発見がありますが、分かりやすいのは、3つ目のコーナー「ちっちゃビックリ!“知る人ぞ知る”ミニチュアMAKI-Eの小宇宙!」。小さな網かごの中にはさらに小さな独楽(こま)、米粒に書かれた「不動明王」の文字と、驚きの世界が単眼鏡ならはっきりとお楽しみいただけます。

会場(コーナー 1~5)


会場中ほどには、珍しい展示も。なんとヘッドマウントディスプレイを使ったVRで美術品を鑑賞するコーナーです。

VRで見られるのは、重要美術品《鹿秋草蒔絵硯箱》(実物も展示されています)。約2分の映像で、自分が硯箱の中に入ったような楽しい体験ができます。

硯箱は、蓋裏・蓋表・身の3面の絵がつながっています。VR映像を見た後に再び実物を鑑賞する事で、理解が深まるように思えました。

コーナー6「新体験!ヴァーチャル鑑賞で硯箱に入っちゃおう!」


企画展の準備を進める中で判明したのが、天璋院篤姫の婚礼調度。東京富士美術館が所蔵している《葵紋牡丹紋二葉葵唐草蒔絵茶碗台 同蓋》を調査したところ、蒔絵で表現された二葉葵唐草が決め手となり、天璋院篤姫の婚礼調度の一部である事がわかりました。国内外で篤姫の婚礼調度が確認されたのは、これで4件目になります。

会場後半にも武具や刀装具、印籠や根付など、単眼鏡での鑑賞にピッタリの工芸品がずらり。最後はいわゆる「明治の超絶技巧」として、帝室技芸員の作品も展示されています。

会場(コーナー 7~10)


まずは本展で単眼鏡のすばらしさを実感していただければと思いますが、最近開催されている展覧会でも、東京都美術館の「バベルの塔展」(精密描写は単眼鏡鑑賞にピッタリ)、三井記念美術館の「西大寺展」(国宝の舎利容器のほか、像内納入品の鑑賞にも)など、単眼鏡があれば楽しさが広がること間違いなしです。

もちろん刀剣女子の方にもオススメ。こちらも最近なら、江戸東京博物館に「陸奥守吉行」、致道博物館には「信濃藤四郎」もお目見えしています。単眼鏡なら刃文の粒子までお楽しみいただけます。

マイ単眼鏡をお持ちの方には朗報もあります。5月27日(土)、5月28日(日)の両日に、本展にマイ単眼鏡を持参してSNSで発信すると、本展の招待券2枚がプレゼントされます。お持ちでない方は、この機会にぜひ。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年5月16日 ]



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会期

2017年4月1日(土)~7月2日(日)