生賴範義展 THE ILLUSTRATOR

ルーカスを唸らせた、迫真の描写

スター・ウォーズやゴジラのポスターで知られるイラストレータ-、生賴範義(おおらいのりよし:1935-2015)。臨場感あふれるパワフルな作品は多くのファンを魅了していますが、展覧会は地方開催にとどまっていました。2018年、ついに東京へ。会場は上野の森美術館です。

  • 表紙絵を描いた書籍が積み上げられた「生賴タワー」
  • (左から)〈映画秘宝〉『スター・ウォーズ/エピソード 1』1999.7/Star Wars ©&TM Lucasfilm Ltd.LLC / 『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』下絵 1980.6/Star Wars ©&TM Lucasfilm Ltd.LLC
  • (左から)『TOWN MOOK 増刊 ゴジラ』描き下ろしポスター 1983.12/TM&©TOHO CO.\
  • LTD. / 『THE MAKING OF GODZILLA 1985 東宝「ゴジラ」特撮全記録』描き下ろしポスター 1985.1/TM&©TOHO CO.\
  • LTD.
  • (左から)『復活の日』イメージスケッチ 1980.6/©1980 角川映画・東京放送 / 『復活の日』イメージスケッチ 11 ©1980 角川映画・東京放送
  • (左から)『宮本武蔵 第1巻』(1970年) / 『宮本武蔵 第1巻』1970.7/©生賴範義
  • (左から)『MACROSS PERFECT MEMORY』付録ポスター 1983.10/©1982 ビックウエスト / 〈B-CLUB SPECIAL アキラ メカニクス 2019〉『S.O.L.』(1988年)©生賴範義
  • (左から)SFアドベンチャー『テオドラ/1985年7月号』©生賴範義 / SFアドベンチャー『バイエルンのユーディテ/1985年10月号』©生賴範義

1973年から亡くなるまで宮崎に居を構えていた生賴範義。展覧会は初の大規模展「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」(2014年)をはじめ宮崎で3回、他は明石と大分で開催されたのみで、関東での開催も今回が初めてとなります。

会場は新聞広告が並ぶ通路を経て、書籍が積み上げられた「生賴タワー」へ。生賴は依頼された仕事を断らず、生涯で3,000点以上を描いたといわれます。

生賴の名を一躍世界に知らしめたのが「スター・ウォーズ / 帝国の逆襲」です。日本の雑誌に描いたスター・ウォーズの世界観がジョージ・ルーカス監督に評価され、国際版ポスターを担当。壮大なスケールを1つの画面で見事に表現しました。

1984年に復活した「ゴジラ」のポスターも、生賴が担当。生賴は平成版ゴジラまでの全13作品のうち、9作品の宣伝用ポスターの原画を描いています。

会場入り口から


続いて、生賴と縁が深かった三人の作家が紹介されています。

まずは小松左京。「復活の日」新装刊の表紙を描いたのが生賴です。巧みな構成と描写を見て、小松は日本人が描いたとは思わなかったそうです。

平井和正とのコラボは「ウルフガイ」の主人公、犬神明を描いた事がきっかけ。会場には「幻魔大戦」に登場するサイボーグ戦士“ベガ”の立体造形も展示されています。

生賴が出版分野に進出するきっかけになったのが、吉川英治です。1966年に手掛けた「吉川英治全集 三国志」の新聞全面広告は話題となり、以降も宮本武蔵など多くの人気作品に起用されました。

生賴と縁が深かった、小松左京、平井和正、吉川英治


会場2階は雑誌や戦史・戦記から。人物の内面まで描いたような肖像画は、月刊誌「現代」や「パーゴルフ」の表紙。飛行機や戦艦も得意としており、戦闘シーンは臨場感にあふれています。

徳間書店の「SFアドベンチャー」の表紙は、1980年から担当。西洋の神話や歴史に登場する魔女的な女性たちを、7年7カ月にわたって描きました。

展覧会の最後はオリジナル作品です。ひときわ目を引く大作は、荒々しく戦争の惨禍を描いた《破壊される人間》。鹿児島の川内歴史資料館に寄贈された作品で、1984年に同館が開館して以来、初の館外搬出です。

会場2階


自らを「真正なる画家」ではなく「生活のための肉体労働者」と称していた生賴。確かに、生賴の作品は大衆文化の中にありましたが、その影響力は燦然と輝きます。映画監督の樋口真嗣さんをはじめ多くの異才が、生賴の絵に魅せられ、新たな創造を生んでいったのです。

過去の展覧会にも出展されなかった作品も出ていますが、会期は僅かに1カ月弱です。ぜひ、上野まで。特に男子は必見です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年1月8日 ]

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料金一般当日:1,600円
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ミュージアムの詳細

展覧会の詳細

会期

2018年1月6日(土)~2月4日(日)