石内 都 肌理と写真

初期から近作まで、40年の軌跡を俯瞰

2014年にアジア人女性として初めてハッセルブラッド国際写真賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されている写真家、石内都(1947-)。デビュー前の作品から、被爆者の遺品を被写体にした「ひろしま」シリーズまで全240点を紹介する展覧会が、横浜美術館で開催中です。

  • (左手前)〈Frida by Ishiuchi〉 / (右奥)〈ひろしま〉
  • 〈連夜の街〉
  • 〈金沢八景〉
  • 〈1906 to the skin〉
  • 〈絹の夢〉〈幼き衣へ〉
  • 〈不知火の指〉
  • 〈ひろしま〉
  • コレクション展に展示されている、デビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」のヴィンテージプリント
  • 石内都さん

横浜は日本の写真興隆期における一大拠点のひとつという事もあり、充実した写真コレクションを有する横浜美術館。ただ意外にも、女性写真家にフォーカスした企画展は本展が初めてです。

多摩美術大学では染織専攻だった石内さん。写真は独学で、1975年から横浜の実家に暗室を構え、写真家として活動を始めました。

4章構成の本展は「横浜 Yokohama」から。デビュー作をはじめ、石内さんのモノクローム写真のほぼすべてが、横浜の暗室で制作されました。展覧会ではデビュー前の作品〈金沢八景〉も展示されています。

続いて「絹 Silk」。石内さんは群馬県相生村(現・桐生市)生まれ。日本を代表する絹織物の産地である桐生。石内さんが撮影した絹織物・銘仙は、斬新なデザインと鮮やかな色彩が特徴的です。この展示室のみ、写真撮影が可能です。

「横浜 Yokohama」「絹 Silk」


続いて「無垢 Innocence」。〈不知火の指〉は水俣病をテーマにした小説で知られる、作家の石牟礼道子さんの手足を接写した写真。女性の傷跡を集めた〈Innocence〉シリーズは、傷を負いながら年月を重ねてきた女性への共感に満ちています。

最後は「遺されたもの Belongings」。下着や口紅など、母親の遺品を撮影した〈Mother’s〉では、第51回ヴェネチア・ビエンナーレ(2005年)の日本館代表作家に選出。〈ひろしま〉は広島平和記念資料館に寄贈されたワンピース、制服、眼鏡など、被爆者の遺品を撮影した作品で、国際的にも高く評価されています。

「無垢 Innocence」「遺されたもの Belongings」


なお、コレクション展(常設展)の写真展示室では、40年前のデビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」のヴィンテージプリント55点が展示中。砂を撒いたような荒々しい作品からは、横須賀に対する石内さんの複雑な思い(少女時代を過ごした場所ですが、いつまでも馴染めませんでした)と、この時代ならではの力強さを感じます。順路としては、コレクション展の最後が写真展示室です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年12月8日 ]

石内 都 肌理と写真石内 都 肌理と写真

石内都 (著), ジェフリー・アングルス (著), 逢坂恵理子 (監修)

求龍堂
¥ 2,916


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ミュージアムの詳細

展覧会の詳細

会期

2017年12月9日(土)~2018年3月4日(日)